昭和37年(1962年)、制作。 昭和62年(1986年)、設置。 |
ある日、陽暮れに近い時刻に海岸にたたずんでいたら、にわかに天地一切が薔薇色のもやに包まれてしまった。空も海も地面ももう区別がつかない。そうして一面のばら色の中に、空にも海にも地にも、ちらちらと金色に輝くものがある。もやの動きなのだろう。物音も水の中のように遠のいてしまった。風景そのものが恍惚状態にとけてしまっている。僕は茫然としていた。「自分」しかないのだ。しかもそれが何か広大無辺なものに包まれていて、実に懐かしいのだ。
――作者―― |
首も手もないトルソの美しさは近代の発見と言えよう。昔は「美に対する観念」というより、むしろ藝術品を求める注文主が「完全姿態」を要求した。しかし、発掘された古代作品が、首や腕がない時、より本質の「美」を示していることへの感覚的知恵を近代人に与えた。
――作者―― |
パラスはギリシア神話のアテネ女神の別名で、ホメロスの物語ではいつも「パラス・アテネ」と呼ばれている。
――作者―― |